健康な人でも睡眠中の呼吸停止は起こっている?

人は眠りに入るとさまざまな条件から上気道が狭窄しやすくなる―つまり、いびきをかきやすくなると述べました。

そのうえ、睡眠中の呼吸は起きているときの呼吸に比べてきわめて不安定にもなります。呼吸のリズムが不規則になり、呼吸自体も浅くなります。また睡眠中は換気(体に酸素を取り入れて炭酸ガスを排出する)機能が低下することから、血液中の酸素が不足しがちにもなります。このとき健康な人でも呼吸停止を起こすことがあるI-というと驚かれるでしょうか。

人の眠りと呼吸の関係について、ここで詳しくみてみましよう。

睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠があります。健康な人の睡眠バターンはほぼ定まっていて、一晩にレム睡眠とノンレム睡眠を四~五回くり返しています。

レム睡眠期は一見熟睡しているように見えるのですが、脳波を調ぺてみると覚醒しているときに近い脳波像を示し、眠りは浅いとされています。時間は一回20分ほどで、急速な眼球運動を行ったり、夢を見るのもこのレム睡眠のときです(ノンレム睡眠期にも夢は見ていますが、眠っている人をレム期のときに起こすと、その80%が「いま夢を見ていた」と答えるのです)。

一方、私たちが眠っている時間の大半を占めるのがノンレム睡眠です。専門的にいえば、ノンレム睡眠は、IからⅣのステージに分かれ、この順に眠りは深くなります。

通常、眠りはノンレム睡眠からはじまります。ステージⅠの浅い睡眠から順にステージⅣの深い眠りへと移行し、そこから逆にステージⅠにかえると今度はレム睡眠に入り、1つの睡眠周期が終わります。ここまでおよそ90分(70分~120分)といわれています。

ちなみに睡眠時無呼吸症候群の人の場合は、こうした規則的な睡眠バターンを描けなくなります。ステージⅢ以降の深い睡眠に入る前に、息苦しくなって目ざめてしまうことが多いからです。

私たちは、眠っている間にこの睡眠周期を四~五回くり返しています。呼吸の特徴をみると、睡眠周期の一まわり目から二まわり目までは時間が経過するにしたがって次第に呼吸数は低下していき、夜明け近くの四まわり目から五まわり目で安定した規則的な呼吸になります。ただレム睡眠期では、呼吸数は心拍数とともに不規則となって、換気量も不安定になります。

健康な人が呼吸停止を起こすのはこのレム睡眠期と、ノンレム睡眠期のIとⅡのステージに多くみられます。そしてその原因に関係しているのが動脈中の二酸化炭素分圧(動脈中に占める二酸化炭素の”圧力”の割合)です。正常な人の睡眠中に、二酸化炭素分圧がわずかに下がっただけで、呼吸停止が起こることがわかっているのです。

ちなみに脳が覚醒しているときは、二酸化炭素分圧が低ドしても呼吸は規則的に続きます。つまり「覚醒していること」が呼吸の安定性に役立っているI逆にいえば、睡眠中はそれだけ不安定な条件下で呼吸をしているのです。



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